高齢者の運転について
高齢者の事故が増えている
高齢化社会が進んで、認知症対策が今まで以上に重視されています。
その中でもすぐに取り掛からないといけない問題として、高齢者の事故があります。
認知症で徘徊しているときに交通事故に遭ってしまうケースもあります。
また認知症の人が運転した自動車によって交通事故が起きるケースも増加しています。
たとえば2013年1~9月に全国の高速道路で165件の逆走事例が発生しています。
その中でも実に23件が認知症ドライバーによるものだったと報告されています。
2003年には75歳以上の免許保持者は195万人程度だったのが、2013年には約425万人となっているといいますので高齢者の事故対策は喫緊の課題であるといっていいでしょう。
道路交通法の対策
現行の道路交通法ではどのように高齢者対策をしているかというと、75歳以上の免許保有者には、3年ごとの免許更新時に認知機能の検査を義務付けています。
もしここで認知症の疑いがあると判断され、信号無視や逆走の違反のあった場合には、医師が診断をします。
そして医師が認知症と診断した場合には免許取り消しになります。
ここで問題になるのは、違反の事実がなかった場合です。
違反をしていなければ、認知症かどうかを医師が診断できなくなります。
また3年に一回の検査で果たして十分なのかという問題もあります。
この3年間の間に認知症を発症して、どんどん症状を進行させるケースも十分あり得ます。
認知症の症状進行は個人差があるので、十分に対応できるのかどうか疑問という声が上がっています。
道路交通法の改正案は
現在出されている道路交通法の改正案の中では、検査によって認知症の疑いがあれば、その時点で医者の診察が受けられるようにしています。
違反の有無が関係なくなったことで、認知症の発見がしやすくなるのは事実です。
もしここで認知症と診断された場合には、違反の事実がなくても免許取り消しになります。
ただし専門家の間ではこれでも不十分という声も聞かれるのは事実です。
若年性アルツハイマーのように、75歳未満の方でも時に認知症を発症することはあり得ます。
75歳未満の対策も必要ではないかという指摘も専門家の間では出ています。
その他にも独居老人の数も増えている中、買い物や通院をするにあたって自動車は欠かせないというケースも多いです。
特に公共交通機関のそれほど発達していない地方では切実な問題になりえます。
高齢者による事故対策は喫緊の課題である半面、認知症対策には自治体や地域社会の連携も必要だといいます。
自動車なしの生活が成り立たない高齢者の場合、それに代わるようなサポートをしていかないといけないわけです。
周囲の人々が温かく見守る体制作りも一方で行っていく必要があります。