介護事故と損害賠償
介護の事故の可能性はゼロではない
高齢化社会が進んだことで、介護サービスも今後ますます必要とされる可能性は高いです。
しかし人間の提供する介護サービスなので、常に100%絶対はありません。
いくら慎重に行っていても、介護事故の起きる可能性はゼロにはできません。
介護事故が起きて利用者に重大な結果をもたらした場合には、介護をした人に賠償責任が降りかかってくる可能性があります。
介護事業を行っている所は、もしものときのために損害賠償保険に加入しておいた方がいいと専門家も指摘しています。
もしこの保険に入っていないと、莫大な賠償金を請求される可能性もあります。
また家族との間で問題がこじれると、裁判沙汰になってしまう可能性も考えられます。
このような問題が深刻化しないようにするためには、介護施設と家族とのコミュニケーションを日頃からとるように努力することが大事です。
ボランティアは通用しない
介護の現場では「良かれ」と思って、本来の行為を逸脱するような業務を担当する人もしばしばみられます。
結構多いといわれているのは、施設の入居者に対して薬の仕分けを行う行為です。
しかし薬の管理をするのは、医療行為に外用します。
ですから医療関係の資格をもっていない介護スタッフが行うのは本来違法です。
ただし一部自治体の中には、薬の管理を介護スタッフが行うことを認めている場合があります。
しかし医療関係者でないスタッフが、服薬管理をするのはリスクも伴います。
多くの薬を管理している場合、もしかすると取り違えを起こす可能性もあります。
その結果、患者の健康被害が起こり、重大な結果を引き起こす可能性も十分考えられます。
このような逸脱した行為も、介護スタッフの思いやりという善意から来ていることは確かかもしれません。
しかしもし何か起きた場合、その責任を本当に取れるのかという問題は残ります。
事故が起きれば責任はある
このように介護の現場では人手が足りないということもあって、良かれと思って行うボランティア精神はまかり通っています。
しかし日常的に行われているボランティアで事故が起きた場合、その自己責任からは免れることはできないということも十分認識すべきです。
またボランティアときけば聞こえはいいかもしれません。
しかし少し違った見方をすれば、職務逸脱行為とも言えます。
職務逸脱行為の結果、自分の家族が重大な状態になったとなれば家族も到底納得できないはずです。
相手方に弁護士がついて、法律に照らして賠償などを主張してきた場合、介護事業所は無力です。
「ボランティアのつもりで…」といういいわけでは家族は納得させられないでしょう。
介護はもはやボランティアではない、自分の仕事に対してしっかりとした責任を持って行動するということを事業所自体が認識すべきですし、職員にもそのことを徹底しないといけません。